お便り

書簡(吉井健太郎様)

親愛なる 西川 祐子 様

現在の世界情勢の中ウクライナの西端から600kmほどしか離れていないウィーンからお便りを書くのは易しいことではありません。 今の時代にヨーロッパ内でこの様な兵器による侵略が起こる事は信じられない事ですが残念ながら悪夢ではありません。 多くの一般市民が既に亡くなり若い子供を連れた母親などもロシアの攻撃により命を失う。考えられない残酷なやり方です。 そして核による脅し、あるいはケミカル兵器の脅し。一体エティックが有るのでしょうか。 
万が一NATOの国にまで被害が出れば世界戦争に成る危険度がとても高いです。 こうした状況下で芸術家にできる事は? よほど有名な人でなければ大きな寄付金を集める事はできません。イライラします。
ただただ早く静かになる事を祈るばかり。そしてウクライナの人々が自国へ戻れる事、破壊された住居の復興を進め元の様に自分の国で生活できる様になる事を強く祈っています。 

コロナパンデミーもまだまだ済んでいません。
祐子さんも是非健康には注意なさって下さい。

とても良い天気のウィーンより

健太郎

コメント

    • 西川祐子
    • 2022.05.03 1:50pm

    健太郎さん
    チャパさん
    一年前、コロナ禍で文化に携わるものとして 自分の存在意義がわからなくなり、チャパさんに関わって頂きホームページを開設しました。ウクライナで 今起きている事で、新たに心が揺さぶられていますが、日本にいる私より より深刻な状況下の健太郎さんのもどかしさはいか程かと案じています。
    現代社会にとって文化や芸術の役割とは…。
    世界で起きている事、私の身の回りで起きている事を何とか理解しようと
    今 哲学書を読み漁っています。真善美はどこに行ったのか?無くなってしまったのか 見失ったのか そもそも存在しないのか
    多種多様な考え方の渦の中で過去のお便りを読み返し 真善美の世界への憧れを手放さずにいたいと強く願う日々です。

    西川祐子

    • チャパ
    • 2022.05.10 11:13am

    にしこさま
    やっと少しづつ、人と会えるようになってきたのでしょうか。先日は久しぶりにお会いできてうれしかったです。

    >真善美はどこに行ったのか?

    真 客観的事実が真実?真実を語ると真意は伝わるでしょうか?
    善 反対側にある悪によって善は見えてくる。とすれば善がなければ、悪もない?
    美 美しいという感性は人間だけのもの?蜘蛛の巣が美しいのは蜘蛛の美意識でしょうか?

    たったこれだけのことを考えるだけで、自分の思考の至らなさ、知識の貧困さを嘆く。
    紀元前3000年前の古代エジプトの遺跡から文学、絵画、音楽(楽器)の遺物が見つかっています。ローマ帝国も紀元前まで遡れる。そして帝国は滅んでも芸術の世界は滅んでいない。他国に武力で押し入り勢力を拡大する歴史を今も繰り返す愚かさのしっぺ返しのように人類だけをターゲットにした病魔の蔓延から、現代人は何を学ぶのか?果たして学べるのか?どんな状況下の時代でも真善美を追い求める人々は存在し続けてきた。逆に真善美の感性を失わなかったから生き延びられたのだと思います。
    同じように真善美のゆらぎの中で右往左往している人たちと繋がって行きたいと願います。
    今できることは、投げ出さずに思い続け、自らが良しと思うことを諦めないことだと思います。過去の人々がそうだったように、そして続く人たちがいることを信じて。
    諦めないで楽しい企画考えていきましょう。

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