花柳茂香舞踊研究
茂香作品抄
2021年6月21日(月)
三宅坂 国立小劇場
(昭和38年)
香取仙之助 作
杵屋正邦 作曲
「鷺」
雄 西川祐子
雌 花柳かなで
浄瑠璃 宇治柴文
宇治柴有
三味線 宇治柴津
宇治柴織
小鼓 望月左武郎
大鼓 福原百之助
笛 福原 徹
(録音にて)
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鷺
神泉の池に 影澄む 石緑の松も静けき 菅絃の音に
聞きほるゝ 鷺の夢 驚かされて 立つ汀
勅詫に かへせし羽袖 めでられて 授け賜はる五位の階
蔵人の 手許悲しと 妻鳥の敷きも いまは晴らかに
苑の青葉にさやけくも 翼ならべし やさ姿
このよろこびを舞はんとて このよろこびを舞はんとて
白綾衣 いと妙に 寿祝ふ髪頭
泉声閑かにうたう 琴慧の韻
柳色鮮かにして 雪客の歓
面白や 落花をうけて 水に浮く 杯流し流れては
めぐりめぐりて 恋となる
紫の藤の花房風染めて 苔にあふるゝ 涼しさを
招く珠とや 玉の帯
久方の月の桂は 雫せり 天津香を 畏くすゝめまゐらする
重陽 菊の酒ほがい
雪晴れて 色貴やかに 鷲奮の沓 君が御足を 愛しけやし
思ひ思ひ羽 待てる心か
わが齢 君が八千代にとりそへて とりそへて
祈り願ひつ舞ひつれて あと 白鷺のやがて遥かに